作用機序

ピペリンのバイオアベイラビリティー向上効果については、様々な成分に対するデータが存在します。その作用機序については、以下のものが考えられます。

排出メカニズムに対するピペリンの影響

Caco-2細胞(ヒト結腸由来細胞株)において、ピペリンはP糖タンパク質(P-gp)を介した薬物(ジゴキシン、シクロスポリンA等)の輸送を阻害することが観測されました。
また、経口摂取されたピペリンは、薬物が同じく経口摂取された際に、ヒトの代謝酵素CYP3A4の基質およびP-gpの血漿濃度に干渉することが示唆されました。(Bharadwaj et al., 2002)。
ラットにピペリン112 µg/kgを14日間、経口摂取させた場合、腸内P-gpレベルの増加、肝臓P-gpレベルの低下が確認されました。なお、腎臓P-gpレベルに変動はみられませんでした。(Han et al. 2008)。

P糖タンパク質(P-gp)は透過性糖タンパク質とも呼ばれ、ABC輸送体に属して、ATPの加水分解によるエネルギー依存的な輸送機構です。P-gpは腸管上皮、肝細胞、近位尿細管細胞、副腎、毛細血管内皮細胞に広く分布しています。また脂質、ペプチド等をはじめとした様々な成分の腸管吸収、また腎および胆汁排泄に影響すると考えられます。
よって、P-gpの阻害は、バイオペリンにみられるバイオアベイラビリティー向上活性の作用機序の一つであると考えられます。

グルクロン酸抱合に対するピペリンの作用

ピペリンは、トランスフェラーゼ活性およびUDP-グルクロン酸の内在量を低下させることにより、グルクロン酸抱合の比率を変更することが報告されています。(Singh et al. 1986)また、ピペリンは肝臓および腸管のUDPグルコース脱水素酵素(UDP-GDH)の活性を非競合的に阻害することが確認されています。(Reen et al. 1993)

グルクロン酸抱合とは、 基質となる成分にグルクロン酸を結合することであり、異物代謝に関連します。グルクロン酸抱合物は水溶性が高くなるため、水溶性の低い成分を排泄する際にグルクロン酸抱合を介することが多いとされています。

熱産生

ヒトの体内で、細胞レベルで熱の産生を起こす代謝過程を熱産生と呼びます。食品に誘発される熱産生の理論は自律神経に関連し、消化管において自律神経はαおよびβアドレナリン受容体という、二つの主要な受容体に代表されます。
バイオペリン®のような「サーモニュートリエント」は、熱産生によって栄養素の吸収を促進する可能性が示唆されています。
熱産生は体重のマネジメントにおいて、重要なファクターと考えられてきました。また、身体が食物からの栄養分を利用するにあたって、重要な役割を果たすことも確認されています。
熱産生は、環状アデノシン3’, 5’一リン酸(cAMP)と呼ばれる物質を介し、βレセプターによって促進されます。cAMPはセカンドメッセンジャーとして、体内でホルモンや酵素の働きに関係します。熱産生が起こる際、代謝を維持するため栄養素の要求は急増すると考えられます。
ピペリンは熱産生ホルモンであるカテコールアミンの放出を促すことが確認されています。これらの働きは、cAMPの存在によって可能になりますが、カテコールアミンが介する熱産生反応は比較的短いとされます。